多発性硬化症の診断と治療 
吉良 潤一 編集

2008年発行 B5判 285頁
定価(本体価格9,000円+税)
ISBN9784880026787

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内容の説明▼
現在、多発性硬化症は若年層を中心に激増しています。
多発性硬化症の平均発症年齢は約30歳ですが、平均余命は健常者と大きくは変わらないことが示されています。10年ほど短いという報告もありますが、いずれにせよ患者さんはいったん発病したら40年ほども多発性硬化症を抱えて生きていくことになります。したがって、私たち神経内科医は多発性硬化症が、life-longな病気であることを認識して、現時点の治療にあたることが肝要です。患者さんの治療にベストな診療ネットワーク(専門医、一般神経内科医、コメディカルなど)を築く助けとなる1冊です。
これから学ぶ先生に最初に読んでいただくことをお薦めします。
おもな目次▼
I.序論
 わが国における多発性硬化症の臨床像・診断・治療の変遷

II.総論 多発性硬化症について臨床医が知っておくべき基本事項
 A.多発性硬化症の臨床疫学
 B.多発性硬化症の神経病理
 C.多発性硬化症の免疫学・免疫遺伝学

III.多発性硬化症の診かた
 A.多発性硬化症の神経症候学
 B.多発性硬化症の画像診断学
 C.多発性硬化症の自己抗体
 D.多発性硬化症の髄液診断学
 E.多発性硬化症の電気生理診断学
 F.多発性硬化症の診断基準:国際基準とわが国の診断基準
 G.多発性硬化症の病型診断
 H.多発性硬化症の鑑別診断
 I.多発性硬化症の特殊型と類縁疾患
  1)Balo病とtumefactive MS
  2)Neuromyelitis optica(NMO)とアクアポリン4抗体
  3)小児の急性散在性脳脊髄炎
  4)アトピー性脊髄炎
 J.多発性硬化症と脱髄性ニューロパチー

IV.多発性硬化症の治療の進め方
 A.多発性硬化症患者へのインフォームドコンセントとQOL
 B.急性増悪期の治療の進め方
  1)副腎皮質ステロイド薬
  2)多発性硬化症とアフェレシス
 C.再発・進行防止の治療の進め方
  1)インターフェロンベータ
  2)シクロフォスファミド
  3)アザチオプリン
  4)メトトレキセート・ミトキサントロン
 D.免疫グロブリン大量静注療法の位置づけ
 E.多発性硬化症における対症療法と生活指導の進め方
 F.妊娠したとき・出産を希望するときの治療の進め方
 G.日本人多発性硬化症の特性からみた治療上の問題点
  1)抗アクアポリン抗体陽性者
  2)視神経脊髄型多発性硬化症
  3)膠原病合併例:シェーグレン症候群を中心として
 H.わが国における多発性硬化症特定疾患治療研究事業と当事者団体・患者会

V.多発性硬化症診療の未来への展望
 A.多発性硬化症の軸索障害
 B.多発性硬化症の疾患活動性のマーカーとそのモニタリング
 C.多発性硬化症の新薬開発の現状:世界の動向と日本