精神疾患と認知機能 
精神疾患と認知機能研究会 編

2009年発行 B5判 341頁
定価(本体価格10,000円+税)
ISBN9784880026930

その他執筆者など▼
編集統括:山内俊雄
内容の説明▼
近年、新規抗精神病薬が導入される際に、認知機能を改善する、あるいは障害することが少ないという特徴があげられている。このことを契機として精神疾患における認知機能に感心が集まった。そこで各種精神疾患における認知機能とその障害について研究し、病態の解明とともに診断、治療に結びつけることを目的に「精神疾患と認知機能研究会」が発足した。
研究者によっては、認知機能の意味内容が微妙に異なっている。そのような理由により、認知機能とはなにか、また、さまざまな精神疾患で認知機能障害その疾患や症状とどのような関連があるのか、治療が認知機能のどのような側面を改善するのかなど、包括的な立場でまとめることが必要な急務となった。
本書は、この領域の今後の発展のために、さらに最新の知識を付け加えて本邦初の精神疾患と認知機能に関するまとまったモノグラムである。
おもな目次▼
第1章 認知機能について(山内俊雄)

第2章 認知機能の基礎
A.脳と認知機能
 I.認知機能の脳内基盤について(川村光毅)
 II.脳機能と認知機能(村越隆之)
B.認知機能関連する因子
 I.情動と認知機能(前田久雄)
 II.記憶と認知機能(吉野文浩ほか)
 III.注意と認知機能(篠崎和弘ほか)
 IV.知覚と認知(視覚失認について)(坂村 雄ほか)
 V.言語と認知機能(浦野雅世ほか)
 VI.覚醒水準と認知機能(太田敏男)
 VII.遂行機能と認知機能(田渕 肇ほか)
 VIII.社会認知と認知機能(村井俊哉)

第3章 認知機能をどう捉え、評価するのか
A.検査法
 I.精神生理学的方法(電気生理学的方法)(切原賢治ほか)
 II.神経心理学的方法(松井三枝)
 III.作業課題(太田克也)
 IV.眼球運動(鈴木正泰ほか)
 V.画像(川崎康弘ほか)
B.認知機能の評価
 I.統合失調症者の精神生理学的情動の評価:多面的検討(森田喜一郎ほか)
 II.記憶の評価(大川原浩ほか)
 III.注意の評価(松田哲也ほか)
 IV.運動機能の評価(植木美乃ほか)
 V.知覚の評価(視覚認知に関する検査)(坂村 雄ほか)
 VI.意識の評価(松島英介)
 VII.広認知機能とQOL・社会機能評価(兼田康宏)
C.認知機能の評価にあたって留意すべきこと(田渕 肇ほか)

第4章 精神・神経疾患と認知機能
A.精神疾患における認知機能(松岡洋夫ほか)
B.統合失調症と認知機能
 I.総論(導入)(倉知正佳)
 II.統合失調症の認知機能障害研究──陽性症状の形成機構──(前田貴記ほか)
C.気分障害と認知機能
 I.気分障害の認知機能障害(樋口輝彦)
 II.気分障害と認知機能研究とその所見(豊巻敦人ほか)
D.認知症と認知機能
 I.認知機能の加齢変化(武田雅俊ほか)
 II.各論(数井裕光ほか)
E.強迫性障害と認知機能(中尾智博)
F.広汎性発達障害と認知機能(岡田 俊)
G.てんかんと認知機能(宮島美穂ほか)
H.神経変性疾患と認知機能(大石直也ほか)
I.高次脳機能障害と認知機能(久保田競)

第5章 認知機能とその改善
A.抗精神病薬
 I.主として抗DA薬、抗5-HT薬(長田泉美ほか)
 II.抗DA薬、抗5-HT薬以外の抗精神病薬(橋本謙二)
B.抗てんかん薬と気分安定薬(岩佐博人ほか)
C.抗うつ薬(久住一郎ほか)
D.その他の薬物
 I.抗認知症薬(宇田川至ほか)
 II.その他の向精神薬(抗不安薬・睡眠薬など)(橋本直樹ほか)
E.社会的認知を標的とした新たな認知機能リハビリテーション(根本隆洋ほか)
F.認知療法と認知機能(橋本 学ほか)
G.統合失調症の社会生活をめざしたリハビリテーション(池淵恵美)