刺激鎮痛のすべて
下地恒毅(新潟大学名誉教授):編著
2010年発行 A5判 161頁
定価(本体価格3,000円+税)
ISBN 9784880028156

その他執筆者など▼
内容の説明▼

 医療の原点は患者の要求に如何に適切に応えるかであろう。それぞれの疾患に合わせて,現時点で可能な最高の治療を施すことである。しかし,言うはやすく,行なうことは簡単でない。その中で重要なことは患者の生活史,習慣,職業,社会的地位,年齢,性格,趣味,などを総合的に捉え,可能な限り疾患に対する患者自身の取り組みを促す必要がある。
 十分なコミュニケーションのないまま,ただひたすら薬物投与によってその場しのぎの治療になっていないだろうか。編者は,これまで,明らかに薬物による副作用によると思われる症例を多く見てきた。薬物には,多くの場合,副作用は付き物である。時と場合によるが,必ずしも必要でないと思われる薬物の投与によって,種々の障害が生じている。
 出来る限る患者の回復力を促し,薬物の副作用を最小限度に抑えるのが理想である。真の意味のリハビリテーションである。本書の意義はここに在る。
 物理的刺激によって患者の回復力を促す治療法について,この方面で長年にわたって従事してこられた方々に,それぞれの分野について執筆をお願いした。
 このような意図を汲んでいただき,患者のために奉仕する方々が,本書を参考書として役立てて頂ければ幸いである。
 編者
おもな目次▼
Ⅰ.経皮的神経刺激法 
 1.経皮的末梢神経刺激鎮痛(TENS)
  A.TENSの歴史
  B.TENSによる疼痛緩和,鎮痛効果の理論的背景
  C.TENSの実際
  D.今後の課題
 2.経皮的迷走神経刺激法
Ⅱ.脊髄刺激鎮痛
 脊髄刺激鎮痛
  A.脊髄背面プレート植え込みによる脊髄刺激法
  B.経皮的硬膜外脊髄電気刺激法
  C.硬膜外電極/刺激装置植え込み式脊髄刺激法
  D.硬膜外脊髄電気刺激の鎮痛機序
Ⅲ.脳刺激鎮痛 
 1.脳刺激鎮痛
  A.脳内電気刺激
  B.経頭蓋電気刺激
  C.経頭蓋磁気刺激
  D.下行性抑制系
 2.反復的経頭蓋磁気刺激
Ⅳ.はり刺激鎮痛 
 はり刺激鎮痛
  A.方法,手技,適応
  B.適応
  C.合併症
Ⅴ.電気麻酔
 電気麻酔
  A.電気麻酔の歴史
  B.電気麻酔の発生機序
  C.電気麻酔の実際
Ⅵ.電気痙攣療法
 疼痛に対する電気痙攣療法
Ⅶ.電気刺激以外の物理的刺激による鎮痛
 1.マッサージ
  A.マッサージと関連手技
  B.施術資格
  C.鎮痛機序
  D.マッサージによる鎮痛の実際
 2.温熱刺激
  A.鎮痛機序
  B.温熱刺激による鎮痛の実際
  C.温熱療法の適応,合併症,禁忌
 3.運動療法
  A.歴史
  B.発痛機序
  C.鎮痛機序
  D.運動療法の実際
  E.疾患別にみた疼痛予防,改善のための運動療法
  F.高齢者に対する予防的運動療法
Ⅷ.刺激解除やインターベンションによる鎮痛
 1.経皮的椎間板内インターベンション鎮痛
  A.経皮的椎間板内注入法
  B.経皮的椎間板内加圧注入法
  C.経皮的椎間板減圧術
  D.経皮的椎間板摘出術
  E.経皮的内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術
 2.硬膜外インターベンション鎮痛
  A.持続硬膜外鎮痛
  B.硬膜外輸液
  C.硬膜外自家血パッチ
  D.くも膜下癒着剥離術
  E.エピドラスコピー
 3.経皮的椎骨やその他の骨のインターベンション鎮痛
  A.減圧骨穿孔術(骨髄減圧術)
  B.経皮的椎体形成術
  C.椎間関節のガングリオン穿破
 4.痛み刺激伝導路遮断による鎮痛
  A.高周波熱凝固(RFA)と,高周波加温(PRF)による神経ブロック
 5.固定,装具,矯正による鎮痛
  A.固定による鎮痛
  B.視野偏位プリズム順応療法
  C.鏡療法
  D.関節運動学的アプローチ―博田法(AKA―博田法)
 6.ガンマナイフによる疼痛治療