ストレスマネジメント-実践的セルフケア

 山本晴義(横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長):監修
 押川聖子(神奈川大学保健管理センター カウンセラー):著

2019年発行 A5判 124頁
定価(本体価格2,500円+税)
9784880028675
電子版はコチラ→M2PLUS医書.jp

内容の説明

これからメンタルヘルスを学ぼうとする学生、社会人のための必読書。ストレスが原因で起こる病気など、ストレスに対する理解を深めるとともに、交流分析を通じて自己理解を深め、アサーションの考え方やリラクセーション法などさまざまな角度から自分に合ったストレス対処法を探っていきます。随所に出てくるセルフチェックもおすすめポイント!

監修のことば

 本書「ストレスマネジメント入門―実践的セルフケア」は,これからメンタルヘルスのセルフケアを学び実践しようとする学生,社会人等をはじめとしたすべての人に向けて作成されたものです.
 まず,ストレスとは何か,ストレスが原因で起こる病気について考えます.ストレスについて知ることはストレスケアの第一歩となるからです.次に,交流分析を用いて自己理解を深め,自分にあったストレス対処法を探っていきます.さらに日頃のコミュニケーションや認知の傾向についても理解を深めていきます.最近では周囲との人間関係がストレス源であるという人が増えています.日頃のコミュニケーションを見直すことで,ストレスが軽減されることは案外多いものです.本書は内容的に多岐にわたっていますが,無理なく読み進め,かつ実践できるようになっていますので,途中のワークもぜひ行うことをお勧めします.
 著者の押川さんは,臨床活動を続ける中で,横浜労災病院内に設置されていた「勤労者心の電話相談」の相談員を6年間務めるほか,横浜労災看護専門学校の授業を現在に至るまで担当し,さらに講演や研修など,メンタルヘルスにかかわる仕事を長く続けている方ですが,当初は横浜労災病院メンタルヘルスセンターの研修生だったこともあり,このような形でかかわれることをうれしく思っています.また,企業秘書を経て短期大学や専門学校,企業研修講師としての経験,さらにはジャズやボサノバ歌手としての活動など,多彩な活動を継続していることが,現在の押川さんの個性として活かされていると感心する次第です.
 交流分析に関しては,交流分析学会にて第17回桂学術奨励賞受賞論文「ドライバーズの心理的・行動的諸側面の検討」(2010)ほかを発表し,成果を挙げています.
 本書はメンタルヘルスを軸に置きながら,押川さんの交流分析への取り組み,企業,大学や短大・専門学校でのコミュニケーション研修での経験が加味された内容になっており,前向きに取り組め,結果としてメンタルヘルスが獲得できるような内容になっています.

 私は1972年に医師になって以来,診療や講演活動,メール相談などをとおして,生きがいをもって元気に暮らしていくための取り組みをしてきました.その中で痛感していることは,病気を治すことだけでなく,病気にならない生き方が大切であるということです.生きている限り,ストレスから逃れることはできません.「メンタルヘルスは自ら獲得するものである」というのが私の考えであり,本書がその実現の助けとなるよう願っています.

独立行政法人 労働者健康安全機構
横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長 医学博士 山本 晴義

はじめに

 ストレスという言葉を,私たちは日常よく使います.「ストレスがたまる」「○○がストレスになる」「ストレス解消」……嫌なものの代名詞のように使われています.しかし,ストレスは必ずしも悪いものばかりではありません.
 私たちが社会生活を営むうえで,ストレスがまったくないということは,まず考えられません.現代社会は,ストレスと背中合わせです.あなたはどのようなときにストレスを感じますか? そして,ストレスを感じたときに,どのような心理状態になり,どのような体調変化が起こり,どのような行動をとりますか? また,ストレス解消の方法はありますか? 自身のメンタルヘルスを考えるとき,ストレスとは何かを知るとともに,自分自身のストレス耐性を知ることで,有効な対処法を獲得することができるでしょう.
 本書は,ストレスケアのうち,特に,セルフケアの実践に役立つようにと,セルフチェック等を盛り込んて構成しました.はじめに,ストレスが引き金となって発症するストレス性疾患について知り,次に自分の傾向(考え方・行動・ライフスタイルなど)について理解を深め,さらに人間関係のトラブルからメンタル不調に陥るケースが多い実態から,自身のコミュニケーションについても見直すことで,ストレスに強い自分を構築することができるでしょう.
 QOL(quality of life:社会的な生活の質)の高い生活を送るためには,ストレスと上手につき合うことが大切です.皆さんの日常生活を振り返り,メンタルヘルスへの理解を深めるとともに,ご自身のストレス耐性を高めることに役立ててください.押川 聖子


Self Check!

私のストレス
❶どのようなときにストレスを感じますか?

❷ストレスを感じたときに,どのような心理状態になり,どのような体調変化が起こり,どのような行動をとりますか?

❸ストレス解消法はありますか?

おもな目次

Chapter 1 ストレスとは
1. ストレスとは何か
2. ストレス反応の3段階
3. あなたのストレスは
4. ストレッサーとしてのライフイベント
5. 日常生活混乱(デイリーハッスル)
6. よいストレスと悪いストレス
7. タイプA行動パターン

Chapter 2 ストレスによる病気
1. うつ病(DSM-5)
2. 双極性障害
3. パニック症
4. 社交不安症(SAD)
5. 限局性恐怖症
6. 全般性不安症
7. 広場恐怖症
8. 強迫症(OCD)
9. 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
10. 適応障害
11. 身体症状症
12. 病気不安症
13. その他の疾患

Chapter 3 ストレスと個人的特性
1. 交流分析とエゴグラム
2. 構造分析
3. ストローク
4. ゲーム分析
5. 脚本分析
6. 幼時決断から再決断へ よりよく生きるために

Chapter 4 ストレスコーピング(対処)
1. ストレスコーピングとは何か
2. 自分にあったストレスコーピングを探す

Chapter 5 コミュニケーション
1. 非言語の重要性
2. コミュニケーションをこじらせているもの
3. 対人認知に影響を与える心理的な枠組み
4. 積極的傾聴法(アクティブリスニング)

Chapter 6 アサーションの考え方を利用する
1. アサーション
2. アサーションを身につけると

Chapter 7 リラクセーション法
1. 自律訓練法
2. 筋弛緩法
3. 腹式呼吸法
4. マインドフルネス
5. その他のリラクセーション法
6. リラクセーション法や気分転換を意識的に取り入れることの意義

Chapter 8 生活習慣
1. ストレス反応には個人差がある
2. 運動
3. 睡眠
4. 食事
5. 活動と休養
6. 趣味

Chapter 9 認知へのアプローチ
1. 認知行動療法(5つのコラム法)
2. 注意を受けるときの心構え
3. 注意をするときに気をつけたいこと

Chapter 10 ストレスに強くなるには
1. リフレーミング
2. 自己効力感
3. 楽観主義
4. レジリエンス
5. QOLの充実をめざして

Reference 社会的動向
1. 事業場における労働者の心の健康づくりのための指針(メンタルヘルス旧指針2000年)
2. 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(2004年)
3. 長時間労働者への医師による面接指導制度(2005年)
4. 労働者の心の健康保持増進のための指針(2006年)
5. 職場における自殺の予防と対応(2007年改訂)
6. 労働契約法(2008年)
7. ストレスチェック制度(2014年)
8. 「働き方改革」の推進(2017年)
文献,INDEX,あとがき