精神医学領域の論文を読みこなすキーワード100!

鬼塚 俊明(九州大学大学院医学研究院神経画像解析学講座教授):編著
橋本 亮太(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部部長):編著

2023年発行 B6変型判 280頁(内文献:Web 掲載33頁) 2色刷
定価(本体価格4,000円+税)消費税10%込(4,400円)
ISBN 9784880028866

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内容の説明

今さら聞けない生物精神の基本中の基本、一気にマスターしよう!

最新の医学論文を読みこなすための基本となる100のトピックを厳選。
華麗なる豪華執筆陣が、いま、おさえておくべき基本を徹底レクチャー。
大枠を手っ取り早くつかんで効率的に勉強したい、精神科医のための必携書。
そもそも「目次のワードがすでに無理。」という先生にこそ、お勧めします!

PREFACE

 新興医学出版社の林さんから,若手の精神科医が英語論文を読む際のハードルが高いというという意見があり,その助けになるようなものがあればよいという相談を鬼塚が受けて,この本の企画が始まった.
 アイディアがすぐには浮かばなかったが,日本における精神医学研究の課題として,特に日本生物学的精神医学会では,研究を行う精神科医が少なくなっているということが問題となっており,それを少しでも解消できるような本にできればよいと考えた.一方で,基礎の研究者からみて,どのように精神医学の研究に参画すればよいかがわかりづらいという問題にも直面してきた.そこで,以前からこれらの問題解決に取り組んでいた鬼塚と橋本で本書を具体化していこうということになった.2002年頃であっただろうか,偶然米国の学会で出会ってから我々は20年以上旧知の仲であり,専門分野は異なるものの,精神疾患の病態の発見・解明研究を継続している.
 本書の執筆者は,その多くが現在の日本における代表的な精神医学研究者であり,洗練されたメンバーである.まずはじめに,それぞれの分野の第一人者である精神科医に集まっていただき,どのようなキーワードを抽出するのがよいかを検討した.読者を初学者のみを対象として,誰にでもわかりやすいものにすると,基本的で平凡な用語を解説するのみの教科書的な本となり,この本のエッセンスが失われるという意見が多数であった.そこで,これから精神医学分野の研究を行おうとしている精神科医と基礎研究者,および研究を行っている精神科医と基礎研究者をターゲットとしたキーワードの抽出が重要であろうという流れになった.
 したがって,本書は精神医学研究において網羅的に基本的なことをカバーした教科書的なものではなく,バランスの取れた広範な分野を含み,さらに最新の研究に必要なキーワードを厳選し,解説している.また,各分野のリーダーに音頭をとってもらい,それぞれの分野の第一人者に執筆していただくことで,豪華な執筆陣となった.この本を通読することで,最近の精神医学研究のトレンドを知ることができる.
 本書は今後の精神医学研究の道標になると思っている.本書を読むことで,精神科医のみならず,他の分野研究者においても精神疾患研究の参考になるであろう.ご多忙にもかかわらず,本書に貢献していただいたすべての著者に深謝して,序文とする.

九州大学大学院医学研究院神経画像解析学講座教授 鬼塚俊明
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
精神疾患病態研究部部長 橋本亮太

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おもな目次

PREFACE 3

総 論

<一般論 鬼塚俊明 13>
1. 論文の構成 鬼塚俊明 14
2. ICD/DSM 鬼塚俊明 16
3. 研究倫理 天野瑞紀,中川敦夫 18
4. 橋渡し研究 松﨑秀夫 20
5. 計算論的精神医学 山下祐一 22
6. 疫学研究 小原知之 24
7. 中間表現型/バイオタイプ 橋本亮太 26
8. 社会実装研究 橋本亮太 28

<統計 上野雄文 31>
9. パラメトリック 上野雄文 32
10. ノンパラメトリック 上野雄文 34
11. 相関 織部直弥 36
12. 多変量解析 荒木由布子 38
13. メタ解析 水野裕也 40
14. 機械学習 上野雄文 42

各 論

<神経解剖 久保健一郎 45>
15. シナプス 林(高木)朗子 46
16. ニューロン 橋本隆紀 48
17. グリア 田中謙二 50
18. 前頭前野 前田貴記 52
19. 海馬 北村貴司,横瀬淳 54
20. 扁桃体 渡部文子 56
21. 島皮質/帯状皮質 梅田聡 58
22. 大脳基底核 疋田貴俊 60
23. 視床下部 向井康敬,山中章弘 62
24. 小脳 石田綾 64

<薬理 内田裕之 67>
25. アルコール依存症治療薬(抗酒剤,飲酒欲求低減薬,飲酒量低減薬) 上野文彦 68
26. グルタミン酸/グルタミン酸受容体 谷英明 70
27. クロザピン/治療抵抗性/超治療抵抗性 上野文彦 72
28. ケタミン 櫻井準 74
29. ファーマコメトリクス 笠井英史 76
30. PK―PD 吉田和生 78
31. Neuroscience―based Nomenclature(NbN) 内田裕之 80
32. GABA/GABA受容体 水野裕也 82
33. 母集団薬物動態 吉田和生 84
34. D2受容体遮断を伴わない抗精神病薬候補 谷英明 86

<ゲノム 池田匡志 89>
35. 全ゲノム関連研究 池田匡志 90
36. 全エクソームシークエンス/全ゲノムシークエンス 木村大樹 92
37. 薬理遺伝学/ゲノム薬理学 加藤正樹 94
38. ゲノムコピー数変異 久島周 96
39. DNAメチル化 藤井綾香,文東美紀,岩本和也 98
40. Polygenic risk score 齋藤竹生 100
41. 遺伝的相関 今津伸一,金沢徹文 102

<認知社会機能 橋本直樹 105>
42. 社会認知機能 大久保亮 106
43. メタ認知 石垣琢麿 108
44. Functional capacity 住吉チカ 110
45. Performance based assessment 豊巻敦人 112
46. 精神科リハビリテーション 飯田仁志 114
47. レジリエンス 内田裕之 116

<治療 橋本直樹 119>
48. 認知機能改善療法 松井三枝 120
49. 非侵襲的脳刺激による認知機能改善 山田悠至,住吉太幹 122
50. ニューロモデュレーション 野田賀大 124
51. 精神療法 藤澤大介 126
52. 就労支援 佐藤さやか 128
53. 認知行動療法 伊原栄,中川敦夫 130

<脳画像 根本清貴 133>
54. Voxel―based morphometry(VBM) 根本清貴 134
55. 皮質厚解析 岡田直大 136
56. コネクトーム 福永雅喜 138
57. Fractional anisotropy(FA) 下地啓五 140
58. Harmonization 小池進介 142
59. タスクfMRI 下川哲也 144
60. 安静時脳機能MRI 福永雅喜 146
61. PET&SPECT 太田深秀 148
62. アミロイド/タウPET 互健二 150
63. MRS 中島振一郎,本藤伸章 152

<神経生理 平野羊嗣 155>
64. 脳波・脳磁図 平野昭吾 156
65. 誘発電位・事象関連電位 織部直弥 158
66. 周波数/時間周波数解析 田村俊介 160
67. ニューラルオシレーション 平野羊嗣 162
68. 脳のネットワーク 武井雄一,須永匡一 164
69. Predictive Coding/Prediction Error 越山太輔 166
70. ニューロフィードバック 三崎将也 168
71. 眼球運動 森田健太郎 170
72. マルチモーダル脳計測 田村俊介 172

<臨床試験 中林哲夫 175>
73. 臨床試験のデザイン 伊藤正哉 176
74. 臨床試験の目的:探索的試験と検証的試験 山末英典 178
75. 精神神経疾患を対象とした臨床試験の特徴 中林哲夫 180
76. 医薬品の安全性評価 稲垣中 184
77. ICHガイドラインと臨床評価方法に関するガイドライン 稲垣中,中林哲夫 186
78. 臨床研究と治験 野上和香,中川敦夫 188
79. 臨床試験における検証の要件 中林哲夫 190

<基礎研究 疋田貴俊 193>
80. モデル動物 疋田貴俊 194
81. シングルセル解析 文東美紀,岩本和也 196
82. タンパク質構造解析 宮ノ入洋平 198
83. ゲノム編集技術 相澤秀紀 200
84. ウイルスベクター 井上謙一 202
85. 神経回路制御 小澤貴明 204

<生体試料 牧之段学 207>
86. 血液脳関門 竹村晶子 208
87. 神経免疫 牧之段学 210
88. オミクス解析 瀬戸山大樹,加藤隆弘 212
89. iPS細胞,オルガノイド 鳥塚通弘 214
90. ブレインバンク 紀本創兵 216
91. 腸内細菌叢 栃谷史郎 218
92. エクソソーム 金山大祐,赤嶺祥真,工藤喬 220

<神経心理 加藤隆 223>
93. Morality 船山道隆 224
94. 情動認知 梅田聡 226
95. こころの理論 熊﨑博一 228
96. 未来思考 片山奈理子 230
97. 神経認知機能 山縣文 232
98. 遂行機能 山本保天 234
99. ミラーニューロン 加藤隆 236
100. 自己主体感/自己所有感 是木明宏 238

INDEX 240
REFERENCE (Web掲載p4参照)