医学・看護論文を読み解いて臨床に活かす方法―Evidence-based Medicine/Nursingのすべて―

康永秀生(東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学):監修
森田光治良(東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター):著者

2024年発行 B5判 180頁
定価(本体価格3,200円+税)消費税10%込(3,520円)
ISBN 9784880021300

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内容の説明

目の前の患者さんに対して、あるいは所属している組織のなかで
「Evidence based medicine/nursing(EBM/N)の実践はむずかしい…」と感じている看護師の皆さんへ!
EBM/Nって具体的にどういうものかをしっかり知りたい医療従事者の皆さんへ!

本書では、
 ・もやもやとした臨床疑問を明確なものにする!
 ・あふれるほどの情報源から正確かつ必要な情報にたどりつく!
 ・統計や研究デザインを理解して、論文を批判的に読みこなす!
 ・質の高いエビデンスを患者さんに役立つよう現場に取り入れる!
 ・実践したエビデンスをきちんと評価して、今後に活かす!
という5つのステップに沿って、EBM/Nの基礎知識から実践的なスキルまで
わかりやすく解説していきます。

本書の監修となっているのは
EBMを実践する基盤となる学問領域である臨床疫学分野で
医療ビッグデータやさまざまな研究データを分析し、
多岐にわたる研究成果を上げてきた東大・康永秀生先生。
そして、著者・森田先生は、看護師経験を経て
康永研で学んだ知識と経験を本書に反映させ、
臨床で役立つようにEBM/Nのステップをわかりやすく示しています。

「よりよい臨床をつくっていきたい!」という思いを抱えているみなさん、
本書をそのスタートとしてください!

おもな目次

はじめに 4

【第1章 Evidence-Based Medicine/Nursingとは?】
1.Evidence-Based Medicine/Nursingとは? 12
  1.Evidence-Based Medicine/Nursingの定義
  2.EBM/Nにおけるエビデンスとは?
  3.EBM/Nに対する誤解
  4.EBM/Nを実践する手順
  5.EBM/Nを実践するうえでの障壁

2.EBM/Nの第一歩:臨床上の疑問を挙げてみよう 16
  1.EBM/Nのために探求心を持とう!
  2.背景疑問と前景疑問
  3.EBM/Nにおける前景疑問のタイプ
  4.各前景疑問のタイプに適した研究デザイン
  5.エビデンスのレベルに関する注意点

【第2章 EBM/NのStep 1・2:臨床上の疑問を明確にしてエビデンスを探し集める】
1.EBM/NのStep 1:臨床上の疑問を明確にしよう 22
  1.問題の定式化とPI(E)COの利用
  2.PI(E)CO設定のポイント
  3.PI(E)COを用いた疑問の定式化

2.EBM/NのStep 2:エビデンスを探し当てよう 27
  1.一次資料と二次資料
  2.原著論文と学術雑誌
  3.6Sモデルと6Sモデルに基づく情報収集

3.EBM/NのStep 2:エビデンスを集めよう 38
  1.サマリーからの情報収集
  2.統合の要約からの情報収集
  3.統合からの情報収集
  4.PubMedによる個々の研究の情報収集
  5.Google Scholarによる個々の研究の情報収集
章末資料1.主な診療ガイドラインの情報源
章末資料2.看護師を対象とする診療ガイドラインの主な発行元
章末資料3.UpToDateに掲載される看護師向けの主なトピック

【第3章 EBM/NのStep 3:①批判的吟味に必要な疫学・統計学の基礎知識】
1.批判的吟味に必要な疫学の基礎知識 70
  1.因果関係と関連性
  2.誤差
  3.妥当性と信頼性
  4.内的妥当性と外的妥当性
  5.アウトカム
  6.利益相反

2.批判的吟味に必要な統計学の基礎知識 79
  1.データの種類
  2.統計学的指標
  3.サンプルサイズと検定力
  4.検定とP値
  5.信頼区間
  6.サブグループ解析

【第4章 EBM/NのStep 3:②研究デザインを把握しよう】
1.研究デザインを把握しよう 90
  1.研究デザインの分類
  2.ランダム化比較試験
  3.コホート研究
  4.症例対照研究
  5.横断研究
  6.症例報告/症例シリーズ
  7.システマティックレビュー
  8.診断研究
  9.臨床予測モデル
  10.質的研究

【第5章 EBM/NのStep 3:③論文の読み方と批判的吟味】
1.論文の読み方 124
  1.原著論文の構造

2.情報の批判的吟味 129
  1.批判的吟味とは?
  2.批判的吟味を行うスキルは必要か?
  3.批判的吟味ツールの活用
  4.GRADE
  5.報告ガイドライン

【第6章 EBM/NのStep 4:エビデンスの患者への適用と現場への導入】
1.エビデンスの患者への適用 140
  1.患者への適用
  2.一般化可能性と適用可能性
  3.患者への適用に際して考慮すべきポイント

2.組織や患者を巻き込んでエビデンスを現場に取り入れる  147
  1.エビデンス・プラクティス・ギャップと実装研究
  2.障壁(阻害要因)と強み(促進要因)の評価
  3.実装戦略のリスト
  4.実装戦略の助けになるプロセスモデル
  5.意思決定の共有と支援

【第7章 EBM/NのStep 5:EBM/N実践を振り返ろう】
1.EBM/N実践を振り返ろう 168
  1.監査とフィードバック
  2.EBM/Nの普及

おわりに 174
索引 176

※コラム
①医療における10大進歩 15
②ランダム化比較試験でノーベル経済学賞!? 19
③ナイチンゲールは統計家としても有名? 26
④日本におけるEBM/Nに関連する情報源の利用状況 37
⑤文献検索エンジンは今や、聴診器と同じくらい必要不可欠!? 61
⑥ミルクティーは紅茶が先か? ミルクが先か? 86
⑦新薬開発の成功確率は? 119
⑧言語翻訳サービスの利用 128
⑨巨人の肩の上に立つとは? 136
⑩絆創膏をゆっくり剥がすのと早く剥がすのは、どちらが痛い? 146
⑪看護に関するChoosing Wiselyキャンペーン 160
⑫医療で「馬の鼻先にニンジンをぶら下げる」とどうなるか? 172