日本舞台医学会:監修
武藤芳照(東京大学名誉教授 / 東京健康リハビリテーション総合研究所所長):編集
山下敏彦(札幌医科大学理事長・学長):編集
田中康仁(奈良県立医科大学整形外科教授):編集
山本謙吾(東京医科大学病院病院長 / 東京医科大学整形外科学分野主任教授):編集
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舞踊・音楽・演劇などを担うアーティストは、極限まで身体を酷使し、常人離れしたパフォーマンスをもって観客を魅了する。
過剰な身体負担によって外傷・障害が生じたとき、アーティスト特有の事情に医療はどう寄り添いながら対応すべきか。
バレエ、ストリートダンス、ピアノ、ヴァイオリン、フルートなどにおける特徴的な症例や対応例などをわかりやすく解説し、スポーツ医学との近似性や違いにも言及する。
「舞台医学」という新しい分野を開拓・実践し、その基盤を築いていくために、日本舞台医学会が掲げる最初の道しるべ。
序
舞台医学(Stage Medicine)とは,舞台上で音楽,舞踊,演劇,演芸などを行う舞台芸術家を医学面からサポートし,パフォーマンスの向上や舞台特有の外傷や疾患の治療と予防に関して研究する学問であります.舞台芸術家は厳しい競争にさらされ,オーバーユースによる障害をしばしば認めます.また激しい動きによる不慮の外傷や過度のトレーニングによる体調不良などは日常的に生じております.さらに舞台芸術家に対する適切なコンディショニングやエクササイズの指導など,医学的に検証していかなくてはならない問題が山積しております.しかし,我が国において舞台芸術家に対する医学的支援は,長年にわたり医療関係者による個人ベースの活動が中心でありました.それぞれの活動は高いレベルのものがあるにもかかわらず,横のつながりは乏しく,系統だった体制の構築はほとんどできておりませんでした.
2024年11月19日
一般社団法人日本舞台医学会理事長/奈良県立医科大学整形外科教授
田中 康仁
序
編者・執筆者一覧
■1章 舞台医学のメインテーマ
1 舞台表現者と医療 (小川宗宏・田中康仁) 8
2 舞台医学(Stage Medicine)とスポーツ医学(Sports Medicine)の共通点と相違点(寺本篤史) 16
3 舞台表現者の運動器障害とリハビリテーション(浦邉幸夫・石原萌香) 20
4 審美系スポーツ選手と舞台表現者の腰痛―Mobilization とStabilization―(藤本秀太郎・西良浩一・藤谷順三) 25
5 舞台表現者へのフットケア(高山かおる) 30
6 女性舞台表現者の健康管理(江夏亜希子) 35
7 舞台医学と漢方(冨澤英明・新見正則) 40
8 舞台上の転倒・転落・墜落事故の発生要因と予防(武藤芳照・福島美穂) 45
9 イギリスのPerforming Arts Medicine(PAM)の現状と課題(金塚 彩) 50
■2章 音楽家の外傷・障害
1 音楽家のジストニア(堀内正浩) 55
2 音楽家の手の障害(Musician’s Hand)(花香 恵・射場浩介) 58
3 管弦楽奏者の上肢障害(永井太朗・西田 淳・山本謙吾) 61
4 ピアノ演奏と足部障害(森田成紀) 64
5 音楽家の母指CM 関節症に対する鏡視下手術(長嶋光幸・面川庄平) 66
■3章 舞踊家の外傷・障害
1 バレエダンサーの足部障害(秋山 唯・仁木久照) 69
2 バレエダンサーにおける股関節障害 (関 健・山本謙吾) 72
3 ダンスにおける運動器外傷・障害―ストリートダンスを中心として―(向井力哉・寺本篤史) 74
4−1 足関節前外側部痛に対する遠位脛腓靭帯再建術(辻本憲広) 77
4−2 舟状骨・内側楔状骨癒合症に対する関節固定術(村橋靖崇) 79
5 ダンサーの膝前十字靭帯損傷の発生要因と予防(宮内 諒・関 健・原口貴久・山本謙吾) 80
■4章 舞台医学の実践
1 舞台医学の診療体制の現状と課題(山本謙吾・立岩俊之) 82
2 バレエ外来(京都)(木澤桃子) 86
3 バレエ外来(名古屋)(菱田愛加) 91
4 バレエクリニックとバレエ教室の連携(蘆田ひろみ) 95
5 舞台公演への医療支援の実践 (小川宗宏・川崎佐智子・田中康仁) 100
あとがき
索引
編者プロフィール