舞踊・音楽・演劇などを担うアーティストは、極限まで身体を酷使し、常人離れしたパフォーマンスをもって観客を魅了する。
過剰な身体負担によって外傷・障害が生じたとき、アーティスト特有の事情に医療はどう寄り添いながら対応すべきか。
バレエ、ストリートダンス、ピアノ、ヴァイオリン、フルートなどにおける特徴的な症例や対応例などをわかりやすく解説し、スポーツ医学との近似性や違いにも言及する。
「舞台医学」という新しい分野を開拓・実践し、その基盤を築いていくために、日本舞台医学会が掲げる最初の道しるべ。
序
編者・執筆者一覧
■1章 舞台医学のメインテーマ
1 舞台表現者と医療 (小川宗宏・田中康仁) 8
2 舞台医学(Stage Medicine)とスポーツ医学(Sports Medicine)の共通点と相違点(寺本篤史) 16
3 舞台表現者の運動器障害とリハビリテーション(浦邉幸夫・石原萌香) 20
4 審美系スポーツ選手と舞台表現者の腰痛―Mobilization とStabilization―(藤本秀太郎・西良浩一・藤谷順三) 25
5 舞台表現者へのフットケア(高山かおる) 30
6 女性舞台表現者の健康管理(江夏亜希子) 35
7 舞台医学と漢方(冨澤英明・新見正則) 40
8 舞台上の転倒・転落・墜落事故の発生要因と予防(武藤芳照・福島美穂) 45
9 イギリスのPerforming Arts Medicine(PAM)の現状と課題(金塚 彩) 50
■2章 音楽家の外傷・障害
1 音楽家のジストニア(堀内正浩) 55
2 音楽家の手の障害(Musician’s Hand)(花香 恵・射場浩介) 58
3 管弦楽奏者の上肢障害(永井太朗・西田 淳・山本謙吾) 61
4 ピアノ演奏と足部障害(森田成紀) 64
5 音楽家の母指CM 関節症に対する鏡視下手術(長嶋光幸・面川庄平) 66
■3章 舞踊家の外傷・障害
1 バレエダンサーの足部障害(秋山 唯・仁木久照) 69
2 バレエダンサーにおける股関節障害 (関 健・山本謙吾) 72
3 ダンスにおける運動器外傷・障害―ストリートダンスを中心として―(向井力哉・寺本篤史) 74
4−1 足関節前外側部痛に対する遠位脛腓靭帯再建術(辻本憲広) 77
4−2 舟状骨・内側楔状骨癒合症に対する関節固定術(村橋靖崇) 79
5 ダンサーの膝前十字靭帯損傷の発生要因と予防(宮内 諒・関 健・原口貴久・山本謙吾) 80
■4章 舞台医学の実践
1 舞台医学の診療体制の現状と課題(山本謙吾・立岩俊之) 82
2 バレエ外来(京都)(木澤桃子) 86
3 バレエ外来(名古屋)(菱田愛加) 91
4 バレエクリニックとバレエ教室の連携(蘆田ひろみ) 95
5 舞台公演への医療支援の実践 (小川宗宏・川崎佐智子・田中康仁) 100
あとがき
索引
編者プロフィール