メンタルサポート教室 ~ストレス病の予防と治療のためのアプローチ~
桃谷裕子 共著

2010年発行 B6判 140頁
定価(本体価格2,000円+税)
ISBN9784880021713

その他執筆者など▼
共著:山本晴義
内容の説明▼
(序文より抜粋)

「あんなことを言わなければよかった」「あの人がちゃんとやってくれれば…」などと、過去や他人のことで思い悩むことはよくあることです。しかし、「過去」と「他人」を自分で変えることはできません。いくら過去を悔いても過去に戻ってやり直すことはできませんし、他人を変えようと思ってもそれはとても難しく、逆にストレスになってしまうことが多いものです。それに対して、「これから」と「自分」は自分で変えることができます。今の自分を変えていこうと思う気持ちが大切です。誰でも自分を変える力を持っています。そのことに気づき、「これから自分は変わるんだ」と思い、日々実践していきましょう。この考え方は、ストレス病の予防にも治療にも重要です。
日々実践できる方法として、まずお進めしたいのがライフスタイルの改善です。健康的な生活習慣は心身の健康づくりための基盤となります。そして、身近なサポーターをたくさん持つことです。元気な時には自分一人の力で何でもやっていけますが、周囲の支えや助力が必要なことも少なくありません。自分を支えてくれるような、そして自分も周囲を支えるような人間関係を意識的につくるようにしましょう。ほかにもさまざまな方法をこの本の中で紹介しています。今の自分の考え方や行動は、人生のさまざまな経験などの積み重ねで身につき習慣化したものでもあります。それがうまく機能すれば適切な対応ができます。しかし、もしうまく機能しないときがあるとしたら、そのときはそれをより良く機能する新しいものへと変えていけばよいのです。ミツバチは花から花へと飛び回って地道に蜜を集めますが、それが植物の受粉を助け、花の命をつなぎ、ついにはたくさんの花を咲かせることになります。回り道に思えても小さな行為が積み重なって少しずつ前進していれば、いつか大きな成果に結びつくものです。
この本で紹介する方法の多くは、実際に病院などで専門家(精神科医や心療内科医、臨床心理士など)の指導の下で行われるものですが、自分でできる対処法としても活用することがでます。現代のようなストレス時代には、自分でできる対処法を身につけ、ストレスをためないように日頃からセルフケアを行うことは大切なことです。自分で対処できるという気持ちもまた、ストレスを和らげるのに役立つことでしょう。
なお、この本で取り上げているストレス病(うつ病やパニック障害、強迫性障害、社交不安障害など)については、姉妹書の『心とからだの健康教室~ストレスと病気のガイドブック~』で最近の話題を織り込んで解説しています。適切なストレス病の予防や治療を行うためには、基本的なストレスと病気の関係を知り、ストレス病について理解を深めることが大いに助けとなります。
本書を手に取っていただいた皆さまとともに、ストレス時代を生き生きと過ごす知恵を多少なりとも分かち合えるならば、これにまさる喜びはありません。
おもな目次▼
第1章 ストレスをためない健康習慣
愛2章 リラクセーション法~心と身体をほぐす~
第3章 認知行動療法~気持ちが楽になる~
第4章 アサーション~さわやかなコミュニケーション~