フローチャートがん漢方薬
サポート医療・副作用軽減・緩和に!

新見正則(帝京大学医学部外科准教授):著

2017年発行 B6変型判 184頁
定価(本体価格3,000円+税)
9784880021997

内容の説明

がん患者さんのサポート、副作用軽減、緩和ケアに漢方薬が活躍します!

がん診療の進歩はすばらしく、現在では治せるがんも増えています。しかし、ひとたび「がん」と診断されれば、患者は肉体的にも精神的にも厳しい状況に置かれます。そのようなときに漢方薬でまず闘う気力をつけるように、そしてがんと闘うためにできることをたくさんすれば、奇跡が起こることもあると、そのように希望をつなぐことがなにより大切です。そんな医療の実践に、ぜひ漢方薬をお役立てください。おなじみのフローチャート形式で漢方ビギナーでも簡単に処方選択ができるように解説しました。モダン・カンポウは、「西洋医のための漢方」をわかりやすく提案しています。本シリーズをお読みになっていない先生でも無理なく漢方が処方できるように配慮してあります。漢方薬を西洋医学の補助として取り入れ、がん診療の幅を広げましょう。

推薦の言葉

 本書は,がんの補助医療として,またがん治療の副作用対策に,どのように漢方を取り入れたらよいかを,がんの病期・副作用別にフローチャート形式でまとめたものです.全体を通じて新見先生の「最先端のがん治療で限界を感じたとき,希望を失わないために漢方薬を使ってはどうか」という強いメッセージが込められています.
 今ではがんの診療は非常に進歩し,治せるがんも増えています.しかし,ひとたび「がん」と診断されれば,患者は肉体的にも精神的にも厳しい状況に置かれます.著者は,そのようなときにも漢方薬でまず闘う気力をつけるように,そしてがんと闘うためにできることをたくさんすれば,奇跡が起こることもあると説きます.そのように希望をつなぐことがなにより大切だと言います.
 私の母は,60 代で悪性の胃がんを発症して手術を受けましたが,余命は長くて数年と云われました.そこで師の大塚敬節先生の診断を受け,漢方薬を飲んでその後20 年生きました.解剖で全身にがんの転移がありましたが,生前はまったく症状はなく元気でした.
 がんの苦しみを少しでもやわらげ,最先端の化学療法の副作用に耐えられるよう患者をサポートするために,また,緩和医療を開始しても患者が希望を失わずに最期までがんばれるように,ぜひ本書を読んで漢方薬を明日の診療に役立てていただきたいと願います.

2017年3月

社団法人日本東洋医学会元会長名誉会員 松田邦夫

おもな目次

1. がんのサポート医療
がんのサポート医療
がんと闘うために必要な5 つの些細なこと
がん治療で使われる基本用語

2. モダン・カンポウ入門
西洋医のためのモダン・カンポウ
漢方薬の副作用

3. フローチャートがん漢方薬
がんのサポート
がんになったら
PS0~1のがん治療の補助療法(参耆剤)
PS1~2のがん治療の補助療法(参耆剤)
PS2~3のがん治療の補助療法(参耆剤)
PS3~4のがん治療の補助療法(参耆剤)
元気すぎて困ったら
気力・体力・諸々の衰え(腎虚)
華奢で血のめぐりが悪い(瘀血)
体格中等で血のめぐりが悪い(瘀血)
がっちり型で血のめぐりが悪い(瘀血)
がん患者さんのおすすめ処方まとめ
副作用対策
がん性疼痛
白血球および好中球減少時の感染予防
貧血
血小板減少症
悪心・嘔吐
口内炎
下痢
イレウス
便秘
腹部膨満感
腹痛
腹水
黄疸
慢性的な黄疸
食欲不振

空咳
脱毛
皮膚症状 発疹・紅斑
皮膚症状 乾燥
皮膚症状 色素沈着
皮膚症状 手足症候群
皮膚症状 毛囊炎・吹き出物
皮膚症状 感染・粉瘤
皮膚症状 白髪・白斑
皮膚症状 爪の異常
皮膚症状 帯状疱疹
皮膚症状 帯状疱疹後疼痛
皮膚症状 放射線皮膚炎
めまい・ふらつき
うつ・うつ症状
不眠
筋肉痛
関節痛
尿意頻回
出血性膀胱炎
勃起障害
しびれ
リンパ浮腫による蜂窩織炎
不定愁訴
冷え
冷え症
ほてり
こむら返り
しゃっくり
倦怠感
体重が増えない
術後の瘻孔
嗅覚障害
味覚障害
口腔内乾燥
本態性振戦
眼症状
易感染症
咽頭異常症
不妊 

4. 巻末付録
がん治療の頻用薬
細胞周期と使用される抗がん剤

参考文献
おわりに
索引