古郡規雄(弘前大学大学院医学研究科 神経精神医学講座):著
2018年発行 B6変型判 168頁
近年、精神科患者の平均余命は一般人口に比べ明らかに短く、適切な医療を受けていないのではないかということに注目が集まっている。
精神科では『こころ』を診るが、一方で、精神疾患と身体疾患の鑑別、副作用のモニタリングなど、『からだ』を診ることの重要性も忘れてはならない。
向精神薬ではどのような副作用が起きやすいのか? 身体モニタリングの方法や対処法は? 妊娠中の投薬リスクは? ・・・など、著者の臨床経験と臨床研究による知見を惜しみなく紹介している。
はじめに
精神科医は「こころ」を診るのは得意であるが,「からだ」を診るのは苦手である.からだのことは専門以外なので診ないし,興味もない.かつてはこのことを誇りにしている精神科医が多かったように思う.尊敬できる先輩たちは卓越した精神科診断能力を備えていたが,一方で基本的な身体疾患の見落としも多かったといわざるを得ない.心理的解釈を行うだけで身体的問題を放置する場面をよく見かけた.精神疾患の診断を下すには身体疾患の除外が前提となるのだが,果たして身体疾患の除外診断能力が精神科医にどの程度身についているのであろうか.2018年5月
古郡規雄
1章 特殊な病態を持つ患者への薬物療法
①小児
②高齢者
③肝機能障害
④腎機能障害
2章 抗精神病薬
①薬剤性パーキンソニズムス
②アカシジア
③ジストニア
④ジスキネジア
⑤悪性症候群
⑥高プロラクチン血症
⑦性機能障害
⑧体重増加
⑨糖尿病
⑩脂質異常
⑪肺炎
⑫心血管性副作用(QT延長症候群を含む)
⑬深部静脈血栓症
⑭過鎮静
⑮低血圧
⑯低ナトリウム血症
⑰クロザピン関連
3章 情動安定薬
①甲状腺機能低下症
②肝機能障害
③腎機能障害
④体重増加
⑤発疹
⑥薬物血中濃度上昇
4章 抗うつ薬
①胃腸障害
②不眠
③抗コリン作用
④セロトニン症候群
⑤性機能障害
⑥出血傾向
⑦心血管系
⑧過鎮静
⑨起立性低血圧
⑩低ナトリウム血症
⑪中断症候群
5章 抗不安薬
①脱抑制
②依存症
③離脱性けいれん
付録 妊娠中の向精神薬治療
①抗精神病薬
②情動安定薬
③抗うつ薬
④抗不安薬
⑤薬剤危険度評価