神経内科ケース・スタディー 病変部位決定の仕方
黒田 康夫 著

2000年発行 A5判 120頁
定価(本体価格3,000円+税)
ISBN9784880024257

その他執筆者など▼
内容の説明▼
「研修医必読!」
「学生の試験対策にも最適」
「さらに、PT、OT、STの方々にもお勧め」「読み終われば知識が整理され、一段進んだ診療が可能に」

本書は症例問題をまじえ、病歴と神経学的診察所見から神経疾患の診断ができるようになることを目的としています。神経疾患の診断においてもっとも難しいのは病変部位の診断と思われます。そこで、本書では病変部位の決定を最重要視し、所見の解釈の基本と、病変部位の決め手になる重要な所見をくり返し、わかりやすく解説してます。
通読すれば、診断が一段と上達することでしょう。
金沢医科大学神経内科 廣瀬源二郎教授による書評:神経疾患患者においては、まず病歴をとり、神経学的所見をとり、責任病変がどこにあるかがわかれば、9割以上の症例で診断が可能であると言われている。
この小冊子に著者はその原則を織り込んで、短い病歴と所見からどこに病変があり、いかなる疾患を考えるかを訓練すべくたくさんのケースを提示している。ベッドサイドを始めた学生、神経内科に入局した研修医が日々の外来で診断法を訓練するのにきわめて有益な書物である。Henry Headが言うように、神経学の魅力は他の科よりも神経学の原則に日々立ち返らせてくれ、神経系の構造・機能に日々に触れて疾患の簡単な現象を説明すべく科学的に思考することにある。こんな訓練をするのに好適な教材として現れたのが本書であろう。
著者はまず神経学的診断で3段階診断を推奨している。解剖学的診断、病因的診断と最終臨床診断である。解剖学的、病因学的診断では少なくとも基本的な神経化学の原理・原則の知識が必要である。詳細な知識があるに越したことはないが、ある簡単な原理原則を知っているだけで十分に診断に役立つものである。著者はそれらを腱反射から診断する方法からはじめて、末梢神経、長経路徴候、脳神経の障害に分けて診断する方法をあげ、さらに協調運動障害、痴呆、不随意運動の診断法にふれ、最後には応用問題とも言うべき総合症例問題の解説に当たっている。病変部位が1題1題図示されており、解剖を思い出させてくれる点でも有用であり、さらに興味がある読者にはさらに神経解剖学的教科書にもう一度あたってみる気にさせてくれる。この本を一通り読み終われば、一般的な神経疾患の大部分と接触したことになり、次に実際に患者が受診した際、臨床の場においてきわめて有用となろう。一つの病気について深く知りたい人には物足らない気がするかもしれないが、あくまでも初心者が診断法に慣れるまでに使う診断の手引き書である。症候別主要鑑別疾患名が巻末にあるが2頁半であげられている疾患名は少数に限られた疾患ではあるが、国家試験準備の神経疾患としては十分であろう。神経疾患に興味を持っているが、その診断法に慣れていない初心者がその診断法を習得するのに適した手引き本として推薦したい。
おもな目次▼
神経学的診断の基礎事項
解剖学的診断の進め方
腱反射から診断する
末梢神経障害を診断する
長経路徴候から診断する
脳神経障害を診断する
協調運動障害を診断する
痴呆を診断する
不随意運動を診断する
総合症例問題
付・症候別主要鑑別疾患