看護師が医療事故や医療事故訴訟にあわないために、どのように日常業務を見直していけばよいのか、実際の訴訟事例を題材として、その重要ポイントを解説。フレッシュナースなす子が仲間たちとカンファレンスを行いながらスキルアップしていく好評の第3弾。今回は実際に医療事故が起こった場合、看護者は何をどのようにすればよいのかという視点から医療事故シミュレーションを盛り込んでよりリアルに解説。「Q&A」のコーナーでは医療訴訟になった場合、どのような手続きの流れに身を置くことになるのかなどをわかりやすく解説し、疑問点の解消を目指す。ナースにおすすめシネマ」のコーナーなども盛り込み、楽しく学べる1冊。
はじめに
この本を手に取って見てくださっているみなさま,どうもありがとうございます.このフレッシュナースなす子とベテランナースお松によるシリーズも,なんと3作目を出すことができました.この場を借りて,声援を送ってくださったみなさまにお礼申しあげます.これまでのシリーズ同様,なす子とお松らが,実際の訴訟事例を題材にカンファレンスを行います.今回は,それらに追加して,もしも医療事故が起こった場合,何をどうしたらいいのかという視点から,「医療事故シミュレーション」を行いました.それから,「医療訴訟になった場合,私はどうなる?」というみなさまの疑問にお応えできるよう,「刑事責任が問われる場合の手続きの流れ」,「民事責任が問われる場合の手続きの流れ」のQ&Aを企画しました.この2つのコーナーで,医療事故の際に,事故に関係した看護師が実際にどのような手続きの流れに身を置くことになるのか,ということをわかりやすくまとめてみたつもりです.
特に新人ナースを指導する立場のプリセプターナースにはぜひ一読していただきたく,1,2作目をしのぐものになるようにと意気込みを持って執筆したつもりです.フレッシュナースなす子の成長ぶりにも乞うご期待です.
この本が医療事故を減らすきっかけの一つになり,医療事故で苦しむ患者や家族,そして医療従事者が一人でも減ることにつながれば,大変うれしく思います.
なお,この本を執筆するにあたり,一部,独立行政法人日本学術振興会平成26年度科学研究費基盤研究(C)No.26461044の補助を受けています.
平成26年11月
著者を代表して
日山 亨
1 最初のカンファレンス
2 看護事故-刑事&民事責任編
【Case 1】加湿の過失事件
(刑事:大阪高裁平成16年7月7日判決/民事:京都地裁平成18年11月1日判決)
3 看護事故-民事責任編
その1.点滴注射
【Case 2】注射が痛いのは当たり前?事件(名古屋地裁平成14年3月15日判決)
その2.感染対策
【Case 3】内視鏡でうつったものは?事件(広島高裁平成24年5月24日判決)
その3.食事中の見回り
【Case 4】おにぎりが食べたい!事件(福岡地裁平成19年6月26日判決)
その4.入浴
【Case 5】よくそうでは困ります事件(千葉地裁平成23年10月14日判決)
その5.個人情報保護
【Case 6】リンクナースならぬリークナース事件(福岡高裁平成24年7月12日判決)
その6.薬剤によるアナフィラキシーショック
【Case 7】すぐに出ました事件(最高裁平成16年9月7日判決)
その7.患者の自殺
【Case 8】10秒間のできごと事件(名古屋地裁平成19年4月25日判決)
Q&A
1.院内感染が関係した裁判事例はほかにもありますか?
2.刑事責任が問われる場合の手続きの流れは?
3.民事責任が問われる場合の手続きの流れは?
4.民事裁判の判決言い渡しはあっという間??
Special Approach
1.医療事故シミュレーション
2.はじめての裁判傍聴
キーワードチェック
起訴,不起訴,略式命令,懲役,禁錮
コーヒーブレーク「ナースにおすすめシネマ」
1.フレナースなす子のおすすめ編『タイヨウのうた』スタンダードエディション
2.ベテナースお松のおすすめ編『明日の記憶』
3.アラフォーナースけん子のおすすめ編『かもめ食堂』
4.イケメン先生のおすすめ編『パッチ・アダムス』
5.りつか先生のおすすめ編『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』
Free Talk
最後にみんなで
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