ブラジル在住高齢者移民 認知症の調査を通して見た物語と歴史
目黒謙一 著者
2010年発行 A5判 127頁
定価(本体価格2,800円+税)
ISBN 9784880028071
内容の説明▼
戦時中、宮城県をはじめ、日本各地から多くの人々が、出稼ぎのために遠くブラジルへと渡って行きましたが、そこで待っていたのは過酷な生活でした。一時的な滞在のはずが、諸事情により長期の滞在となり、日本へ帰る船へと乗り込めなかった多くの人々が、現在もブラジルで暮らしています。そのほとんどが国籍は日本のままの「長期滞在者」です。数ある問題のなかで、日本人としての自覚を持ちながら異国で暮らしてきた人々の多くが高齢者となった今、特に認知症に注目。国内にいる日本人と、長期にわたりブラジルで生活をしてきた日本人とではどのような差があるのか、ひいてはその暮らしてきた環境や、アイデンティティの持ちようが、認知症にどのような影響を与えるのか。その実態を比較研究し、まとめたのが本書です。歴史的背景を鑑みながら、フィールドワークの成果を総括、認知症を新たな視点で見つめた一冊になりました。
おもな目次▼
推薦のことば
特別寄稿
序文
第1部 歴 史
I.ブラジルの歴史
キーポイント
A.ブラジルの現在
B.ブラジルの歴史
II.日本人移民の歴史
キーポイント
A.19世紀後半~20世紀前半の世界
B.戦前移民の苦難の歴史
C.ブラジル日系人社会
第2部 医療協力調査
I.ブラジルの医療制度の概略
キーポイント
A.死亡原因
B.医師の状況と医療制度
C.関連医療協力調査
II.医療協力調査
キーポイント
A.1997年医療協力調査
B.1997年疫学調査
C.日系人老人ホーム「憩いの園」調査
D.二ヵ国語使用可能であったアルツハイマー病患者の調査
E.書字の分析:日本とブラジル移民の比較研究
F.2009年追跡調査
結語
参考文献