不安障害の臨床
穐吉條太郎(大分大学医学部精神神経医学講座 准教授)・五十川浩一(ニューヨーク大学神経科学センター博士研究員)・河野伸子(大分大学教育科学福祉部福祉科学教育課程 講師):共著

2011年発行 A5判 106頁
定価(本体価格2,500円+税)
ISBN:9784880028293

その他執筆者など▼
内容の説明▼

 雲がどんよりした時代の中にあって,平成23年3月11日の東日本大震災と原発事故はさらに私たち日本人に不安と抑うつを強いることになりました。このような時代にあって,ストレスとの密接な関係が指摘されている不安障害の増加が心配されるところであります。不安障害についても,従来の精神療法のみの治療から,他の精神疾患と同様にエビデンスに基づく薬物療法などの生物学的療法と併せて精神療法が重要となっています。

 本書は,不安障害の臨床と研究に長年従事してきた穐吉,生物学的精神医学と同時に現在アメリカにおいて不安障害を研究している五十川,教育心理学と同時に精神療法を実践している河野の共著となっています。

 快く3Dで表紙作成をしていただいた大町崇浩氏にお礼申し上げます。また本の作成と校正で多大な貢献をいただいた新興医学出版社の服部治夫氏に感謝申し上げます。

 平成23年8月18日
穐吉條太郎

おもな目次▼

1.不安とは
2.不安障害の診断の流れ
3.不安の生理的メカニズム
 扁桃体(amygdala)
 GABA
 セロトニン(5‐HT)
 ノルアドレナリン
 視床下部‐下垂体‐副腎系(HPA axis)
 CRF(corticotropin‐releasing factor)
 コレシストキニン(CCK)
 前頭前野皮質(prefrontal cortex)
 遺伝子
 養 育
 電気痙攣療法(electroconvulsive therapy: ECT)と反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)
 肝細胞成長因子(hepatocyte growth factor: HGF)
4.不安の心理的メカニズム
 精神分析から見た不安のメカニズム
 行動理論(学習理論)から見た不安のメカニズム
 森田機制から見た不安のメカニズム
5.不安障害の診断の仕方
6.パニック障害
 診 断
 病 因
 治 療
7.恐怖症
 診 断
 病 因
 治 療
8.社交不安障害
 診 断
 病 因
 治 療
9.強迫性障害
 診 断
 病 因
 治 療
10.外傷後ストレス障害
 診 断
 病 因
 治 療
11.急性ストレス障害
 診 断
 病 因
 治 療
12.解離性障害
 診 断
 解離性健忘
 解離性とん走
 解離性同一性障害
 離人症性障害
 特定不能の解離性障害
 病 因
 治 療
13.転換性障害
 診 断
 病 因
 治 療
14.治療 薬物療法の心がまえ
 抗うつ薬
 buspiron
 ベンゾジアゼピン系薬物
 抗けいれん薬
15.治療 精神療法の心がまえ
 精神分析的治療
 認知行動療法(cognitive‐behavioral therapy: CBT)

索 引