日本高次脳機能障害学会サテライト・セミナープロシーディング企画第1弾。『伝導失語』に関連する問題を詳細にまとめたかつてない論考集。失語症に関わる臨床医、コメディカルスタッフ必読の1冊。
【編著者「はじめに」より】
本書は,2011年11月に鹿児島で開催された日本高次脳機能障害学会サテライト・セミナーでの講演を核として,伝導失語に関わるさまざまなテーマを追加し,サテライト・セミナー特集として編纂されたものである。講演をして頂いた方々は言うまでもないことであるが,追加執筆をお願いした方々からも,大変に得難い力作をお寄せ頂き,結果的に,極めて水準の高い「伝導失語についての論考集」ができあがった。お読み頂ければ,伝導失語関連のほとんどすべての問題について,詳細に論じ尽くされていることに気付かれると思う。
筆者の知る限り,伝導失語について,ここまで幅広くまとめて論じられた類書というのは,近年,ほとんど他に見あたらないのではないかと思う。そういう意味で,本書は,失語症に関心をもたれている多くの読者にとって,極めて貴重である。
(大東祥孝 「はじめに」より抜粋)
第Ⅰ章 伝導失語とは?
1. 伝導失語の診断
2. 伝導失語症候のバリエーション
―音韻と意味をめぐるエチュード:「復唱障害」の意味するもの―
3. 伝導失語論の歴史的展望
第Ⅱ章 音韻性錯語
1. 音韻性錯語
2. 失語症の音韻論的障害の検討
第Ⅲ章 復唱障害,言語性短期記憶障害
1. 言語性短期記憶(short-term memory : STM)について
2. 純粋STM症候群をめぐって
3. 復唱障害について
第Ⅳ章 特殊型,小児の病態
1. logopenic progressive aphasia
2. 発達と音韻論的障害
3. 小児の伝導失語と発達性読み書き障害―音韻障害と音韻認識障害
第Ⅴ章 伝導失語の言語治療
1. 伝導失語の言語治療―WM障害の立場から
2. 伝導失語の言語治療―音韻操作障害の立場から