日本精神神経学会専門医認定試験問題
解答と解説 第2集〔第4回~第6回〕

 日本精神神経学会専門医制度試験委員会:編著

2020年発行 A4判 208頁
定価(本体価格4,500円+税)
9784880028613

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内容の説明

本書は、第4回〜第6回精神科専門医認定試験問題とその解説である。精神医学の基礎から症例を通した治療対応の判断、社会制度に関する新しい知識など幅広い範囲をこの1冊でカバー。正答を導く根拠(エビデンス)を提示しながら1問ずつ丁寧に解説しており、専門医試験受験者必携の書!

序 文

 精神科専門医は、日本精神神経学会が認定した精神科専門医制度研修施設において研修手帳に従い、精神科専門医制度指導医のもとで3年間の研修を修了した精神科医について、精神科専門医としてふさわしい精神医学的要素(知識)、臨床技能、精神医療に対する姿勢等を有しているかを認定試験によって確認し、付与される資格である。平成16年(2004年)に精神科専門医制度が発足、平成21年(2009年)より新認定制度に移行し、令和元年(2019年)には第11回認定試験が実施された。
 「日本精神神経学会専門医認定試験問題 解答と解説 第1集」としては第1回から第3回の認定試験の解答集が発行され、以後かなりの時が流れたが、このたび第4回から第6回(平成24~26年)の認定試験をまとめた第2集を刊行するはこびとなった。解答のみならず参考資料などに万全を期すため刊行が遅れたことを最初にお詫びしたい。 
 新たな筆記試験問題の作成、口答試問のあり方の検討などは、次々に現れる課題を解決しながら主に専門医制度試験委員会が行う作業である。最も重要なのは精神科専門医に求められる専門的知識や技能のレベルをどのように設定するかであり、学会内でも厳しく激しい議論を続けてきた。本解答集までの6回、さらにその後の試験を経て、専門医にふさわしい精神科医としてレベルが定まりつつあると思われ、専門医を通して精神科医への社会の信頼が強まってきていると思う。
 ふたつの課題をあげたい。第一は、精神医学は他の身体医学と比べて、患者に対する医師ごとの対応や治療法の差が大きく、どれも誤りであるとは言い切れないことが多い。特に非生物学的治療、すなわち精神療法やカウンセリングにその傾向があり、正誤を問う筆記試験を作りにくい。口頭試問でその技能を確認したいが、時間の制約などを考えると限界がある。非生物学的治療は研修施設で指導医から十分に指導を受けてほしいというのが試験委員会の願いである。
 第二に試験問題は様々な精神疾患、薬物療法、精神療法以外にも、精神医療をとりまく社会制度や法律、社会資源、他の診療科の疾患や薬剤と関連する主にリエゾン精神医学などからも多く出題される。出題される問題から、精神科専門医には周辺領域との関係に関する広い知識が求められていることを十分に理解してほしい。
 試験問題は研修手帳に示された範囲・内容に沿って出題されているが、基本的に求められる知識に加え、精神医学の進歩に伴う新たな知識なども加えられている。知識をより深めるために、この解答集だけでは限界があるので各問題に掲載されている「参考文献」まで読んで確実な知識を身につけてほしい。当然ながら専門医取得は精神科医としての出発点に過ぎない。専門医認定試験を受けるにあたって、この資格は最低限の知識を担保するにすぎず、文献や臨床から新しい知識や技能を増やしていくことが必須であると考えて、研修を続けてほしいと思う。

日本精神神経学会 専門医制度試験委員会

おもな目次

総論
1. 面接・精神療法
2. 心理社会・精神科リハビリテーション・地域精神医療・保健・福祉・法
3. 救急・リエゾン・歴史

各論
4. 統合失調症
5. 気分(感情)障害
6. 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害(摂食障害を含む)
7. 児童・思春期精神障害
8. 精神作用物質使用による精神および行動の障害
9. 症状性を含む器質性精神障害(認知症など)・睡眠障害・てんかん
10. 成人のパーソナリティおよび行動の障害