医療者のためのChatGPT―面倒な事務作業、自己学習、研究・論文作成にも!―

松井健太郎(国立精神・神経医療研究センター病院 臨床検査部)
香田将英(岡山大学学術研究院医歯薬学域 地域医療共育推進オフィス)
吉田和生(慶応義塾大学病院 臨床研究推進センター教育研修部門)

2023年発行 A5変型判 152頁
定価(本体価格2,800円+税)消費税10%込(3,080円)
ISBN 9784880029269

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内容の説明

現役医師3名の執筆による
医療者向けChatGPT解説書がついに登場!

業務メールの作成や標語のアイデア出しといった事務系作業、当直表作成のようなちょっと面倒なタスクといったところから、
自己学習や研究・論文作成のフェーズごとの活用までChatGPTの使いこなし方がよくわかる!

まだ触れたことのない人も、ちょっと使ってみたけど今イチすごさがわからなかったという人も
著者たちが感じている、「おー、こんなことができるのか!」という興奮を共有できるはず。
臨床においても、医療者としてのご自身にとっても絶対に強い味方となってくれるChatGPT。
この1冊とともにそのすばらしい世界をぜひ体験してください!

はじめに

 ChatGPTの登場は,私にとって大変衝撃的でした(まさに表紙の猫のイメージ).
 当時連載していたコラムのネタ出しをChatGPTにお願いしてみたとき.ポンポンポンと10個くらい即座にアイデアを出力してきてびっくり.いろいろと人工知能(AI)を用いたサービスはこれまでもありましたが,「アイデアを提案」されたのは初めての体験でした.

 さらに数日後,海外の共同研究者にメールをしようと思った時でした.内容を箇条書きにし,ChatGPTに「英語にして」とお願いしたところ,今まで書いたこともない,スマートな英文テキストがものの数十秒で出力されたのです.
 英語のお作法は意外と難しい.1つのメールを作るのだって,苦労したものです.成書を開いてテンプレート構文を一生懸命探したり,思いついた英語のフレーズを””で囲ってググったり(よく使用される表現かどうか調べる方法です)――これまでの苦労が走馬灯のように頭を駆け巡り,私は感動を超えてブルブルと身震いしました.これがChatGPTか!

 私はこういう「ちょっと楽できるテクニック」が生来的にとても好き(圧力鍋とかルンバとか,ななめドラム洗濯乾燥機とかが大好き!).なので,twitter(現X)に「こんなことできたよ!」「あんなことできたよ!」と無邪気に書き溜めていたところ,「情報共有しませんか」とお声がけくださったのが本書の共同執筆者である吉田和生先生でした.オンラインでお話しするなかで,同じく共同執筆者の香田将英先生をご紹介いただいたので,執筆を担当した3人は吉田先生が繋いでくださったご縁,ということになります.

 私がポンコツなので,吉田先生,香田先生が大変がんばってくださいました.プロローグではChatGPTの登録方法から,その仕組みについて,香田先生にわかりやすくご解説いただきました.第1章では「ChatGPTの基本と原則」と題し,ChatGPTの基本的な動作について解説し,第2章では「医療の現場での実践的活用法」として,医療現場におけるさまざまなケースを挙げています(これらは私,松井が担当しています).第3章では「自己学習への活用法」と題して,知識や情報の要約・理解しやすい表示の仕方について香田先生にご提案いただきました.第4章「研究・論文作成への活用法」は英語論文執筆の各フェーズにおいてどのようにChatGPTを応用するか.吉田先生にまとめていただいた,大変な力作となっています.

 本書はChatGPTに馴染みがない方を対象としつつ,すでにChatGPTを使いこなされている方にも「これは知らなかった!」と,何かしら気づきがあれば,という思いで執筆したものです.それもあって,だいぶ守備範囲広めというか,カジュアルな解説があったかと思えば,えらい専門的だったり,意識高!みたいな箇所があったりと,幾分カオスな構成となっています.
 よろしければ興味のないところはどんどん読み飛ばしていただき,面白いな,使えるな,という箇所があれば,手法を真似したり,もっといいプロンプトに改良したり,といった形でご活用いただけたら,と思います.
 ChatGPTは余計な業務を減らすポテンシャルを大いに秘めていますし,自分なりの有効活用法を見出した瞬間の楽しさったらないです! この書籍をきっかけに,医療に携わるどなたかが,少しでも幸せになってくれたら嬉しいですね.

 ちなみに私自身はAIの仕組みに詳しいわけでもなく,いうほどアーリーアダプターでもなく,そのへんのChatGPTファンのおじさんに過ぎません.お声がけくださり,かつ最後までサポートしてくださった新興医学出版社の石垣さん(どうして私をご指名くださったのか未だに謎です),また私をリードしてくださった吉田先生,香田先生に改めて感謝申し上げたいと思います.

2023年10月

松井健太郎

おもな目次

はじめに 4

【プロローグ】
① ChatGPTの基本的な考え方と「ChatGPT×医療」の可能性 8
② アカウント作成から使用までの流れ 11
③ 自分や組織を守るためにすること:個人情報保護について 13
④ ChatGPTの特徴 16
⑤ ChatGPTの基本的な使い方 19
⑥ 拡張機能の使い方(Custom instructions, Plugin, Advanced Data Analysis) 21

【第1章 ChatGPTの基本と原則】
1-1 まずは使ってみよう! 26
1-2 よいプロンプトの実践例 28
1-3 深津式プロンプト 36
1-4 魔法の言葉「Step by stepで考えて」 39
1-5 アウトプットの基本は「ですます調」 42
1-6 ChatGPTの苦手なタスク 44
1-7 ChatGPTは基本めっちゃ「いいやつ」である 48

【第2章 医療の現場での実践的活用法】
2-1 業務メール作成&クレーム対応 52
2-2 標語のアイデア出し 55
2-3 インシデントレポート 58
2-4 学生や実習生の評価 60
2-5 フローチャート/マニュアルづくり 62
2-6 ちょっとしたグラフを作る 69
2-7 当直表を作る 74

【第3章 自己学習への活用法】
3-1 一般的な知識を解説してもらう 84
3-2 要約してもらう 86
3-3 ChatGPTに調べ物はできない? 91
3-4 メンターになってもらう 93

【第4章 研究・論文作成への活用法】
4-1 研究への活用法 98
4-2 研究アイデアの提案 101
4-3 臨床疑問をリサーチクエスチョンに 104
4-4 臨床疑問をリサーチクエスチョンに(ワークショップ形式) 108
4-5 研究計画書の作成 111
4-6 倫理審査申請に関連した書類の作成 113
4-7 データ解析(Advanced Data Analysisを使用) 115
4-8 論文執筆 120
4-9 英文校正 127
4-10 Abstractの作成 132
4-11 論文投稿 137
4-12 査読対応 141
4-13 論文査読 143