医学書籍・医学雑誌・検査器具の専門出版社
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なかなか発作消失にいたらない、患者が治療に納得していない。てんかん患者によりよい治療を提供したいと考えるほど、治療者は悩みや迷いを覚える。
てんかん診療場面の悩み 80項目に対し、1項目 5分で読めるコンパクトさでエキスパートたちがリアルで柔軟な対応策や提案を綴る。
「実は薬を飲んでいませんでした、といわれたのですが？」
「発作があったことを患者が話したがらないようなのですが？」
こんな悩みに直面したとき、患者にとっても治療者にとっても、よりよい道はあるのか。
神経内科医、脳神経外科医、小児科医など、てんかん診療に関わる治療者に普遍的に役立ち、診療場面を前向きにしていく必携書。
プロローグ
てんかん臨床に限らず，治療者は最善の治療方策を提供するために，正確かつ最新の知識をもとにした対応を考えて診療現場に臨みます．でも初診から長い期間にわたるあいだには，さまざまな局面で「こんなときはこんな対応でいいのだろうか」「こんな質問にはどんなふうに答えるのがいいのだろう」と，治療者自身が自分の対応にいささか迷いを感じる場面もあるのではないでしょうか．また一方，患者としては，言葉のうえでは治療者からの説明をなんとなく理解できたとしても，気持ちのうえでは簡単には受けとめきれないこともありうるでしょう．時には感情が不安定になるかもしれません．本書は，そうしたてんかん臨床の多様な場面を想定した問いを CQ として挙げ，よりリアルで柔軟な対応に役立つと思われる提言を綴りました．それぞれの CQ は実際に筆者らが問われた質問をもとにしてあります．教科書的な内容を整然と列挙したものではありませんので，全体にサッと目を通していただいても，必要に応じて 1つひとつの項目を読んでいただいてもかまいません．筆者らの経験や私見を交えた実際の対応や，知っておくべきポイントなどを述べました．また，10個のテーマについては NOTE として記載しています．すべて合わせて 90項目です．各項目はコーヒー 1杯飲んで一息入れる程度の時間で読みきれる量だと思います．1日 1項目だけでも目を通していただけるなら，3ヵ月程度で本書のすべての内容に触れていただけるかと思います．てんかん臨床のあらゆる課題を網羅しているわけではありませんが，本書で述べたことが日常診療のやりとりに少しでも役にたつことを願っております．岩佐 博人
プロローグ 4
本書について 5
■Chapter 1 さまざまな診療場面 13
CQ 1-1 てんかんの診断を伝えるときに注意することはありますか？ 14
CQ 1-2 脳波検査の結果はどのように説明すればよいですか？ 16
CQ 1-3 心理検査の目的や結果はどのように伝えればよいですか？ 18
CQ 1-4 高次脳機能検査の目的や結果はどのように伝えればよいですか？ 20
CQ 1-5 治療開始の際の説明では患者や家族にどのような配慮が必要ですか？ 22
CQ 1-6 てんかんの理解に患者と家族で差があるようなのですが？ 24
CQ 1-7 子どもの患者への対応ではどのような配慮が必要ですか？ 26
CQ 1-8 発作の記録をつけてもらう際に配慮すべきことはありますか？ 28
CQ 1-9 発作があったことを患者が話したがらないようなのですが？ 30
CQ 1-10 小児科から成人科への移行をすすめたいとき留意することはありますか？ 32
CQ 1-11 薬を減らしたい，やめたい，と相談されたのですが？ 34
CQ 1-12 薬を変えたい，と相談されたのですが？ 36
CQ 1-13 わが子がてんかんであることで，親が自分を責めているのですが？ 38
CQ 1-14 患者が怒りっぽくなった，と家族から相談されたのですが？ 40
CQ 1-15 過呼吸発作かてんかん発作なのか，わかりにくい症状なのですが？ 42
CQ 1-16 カウンセリングを受けたい，と相談されたのですが？ 44
CQ 1-17 てんかんになってから将来に夢がなくなった，といわれたのですが？ 46
CQ 1-18 発作が完全に消失していても精神面のケアが必要ですか？ 48
CQ 1-19 外科治療を予定している患者への対応で留意することは何ですか？ 50
CQ 1-20 外科手術をしても発作が完全に消失しない場合があることを伝えたいのですが？ 52
CQ 1-21 外科治療を承諾した患者が，手術を躊躇しはじめたのですが？ 54
CQ 1-22 外科手術を受けたのに発作がなくならない，といわれたのですが？ 56
CQ 1-23 患者が質問しやすくするにはどのような配慮が必要ですか？ 58
CQ 1-24 今まで誰にもいわなかったことだけど，と相談されたのですが？ 60
CQ 1-25 私は治らないのですか，と聞かれたのですが？ 62
CQ 1-26 実は薬を飲んでいませんでした，といわれたのですが？ 64
CQ 1-27 患者に元気がないので励ましたいのですが？ 66
CQ 1-28 発作のセルフコントロールについて助言したいのですが？ 68
CQ 1-29 発作を自分で止められた，とのことなのですが？ 70
■Chapter 2 メンタルヘルスの課題 73
CQ 2-1 トラウマがある，と相談されたのですが？ 74
CQ 2-2 心理的なストレスで発作が起こりやすくなりますか？ 76
CQ 2-3 精神的な面での相談がなければ特別な対応は必要ないですか？ 78
CQ 2-4 悩みがあるようなので精神科受診をすすめたいのですが？ 80
CQ 2-5 患者がどうしても精神科受診を望まないのですが？ 82
CQ 2-6 患児の落ち着きがない，と家族から相談されたのですが？ 84
CQ 2-7 勉強しているのに成績が下がってきた，と家族から相談されたのですが？ 86
CQ 2-8 忘れ物が多くて注意される，と家族から相談されたのですが？ 88
CQ 2-9 学校に行きたがらない，と家族から相談されたのですが？ 90
CQ 2-10 子どものころ親から虐待されていた，と相談されたのですが？ 92
CQ 2-11 いつも不安で仕方ない，と相談されたのですが？ 94
CQ 2-12 あまり食欲がない，と相談されたのですが？ 96
CQ 2-13 最近やる気がでない，と相談されたのですが？ 98
CQ 2-14 生きている意味を感じなくなってきた，と相談されたのですが？ 100
CQ 2-15 ちょっとしたことで涙が出る，と相談されたのですが？ 102
CQ 2-16 気分の浮き沈みが激しい，と相談されたのですが？ 104
CQ 2-17 抗うつ薬を使うときの注意点はありますか？ 106
CQ 2-18 眠れない，と相談されたのですが？ 108
CQ 2-19 誰かに嫌がらせされている，という言動があったのですが？ 110
CQ 2-20 患者が無口になった，と家族から相談されたのですが？ 112
CQ 2-21 幻聴があるようだ，と家族から相談されたのですが？ 114
CQ 2-22 発作が起こるのが怖い，と相談されたのですが？ 116
CQ 2-23 自傷行為がある，と家族から相談されたのですが？ 118
CQ 2-24 パニックを起こして暴れる，と家族から相談されたのですが？ 120
CQ 2-25 心因性非てんかん発作の診断はどう伝えるのがよいですか？ 122
CQ 2-26 心因性非てんかん発作の診療は何科が行うのがよいですか？ 124
CQ 2-27 話が通じにくい，言葉が頭に浮かばないようだ，と相談されたのですが？ 126
CQ 2-28 読むのが遅い，字が汚い，と家族から相談されたのですが？ 128
CQ 2-29 記憶力が落ちた，と患者（または家族）から相談されたのですが？ 130
CQ 2-30 性格の影響と思われる問題についてはどうしたらよいですか？ 132
CQ 2-31 抗精神病薬，抗不安薬など精神科の治療薬を使う際のコツはありますか？ 134
CQ 2-32 心理的な症状の場合は精神科のみの診療でよいですか？ 136
■Chapter 3 社会生活上の課題 139
CQ 3-1 学校生活や進学についての相談をされたのですが？ 140
CQ 3-2 就業や職業選択についてどのように伝えればよいですか？ 142
CQ 3-3 パートナーに病気のことを話すべきか，と相談されたのですが？ 144
CQ 3-4 運転できないと仕事をクビになると嘆願されたのですが？ 146
CQ 3-5 薬をきちんと飲んでいないようなのですが？ 148
CQ 3-6 診察の際，患者より家族が答えてしまうことが多いのですが？ 150
CQ 3-7 子どものころから親に厳しく行動制限された，とのことなのですが？ 152
CQ 3-8 ゲームやスマホの時間を制限したい，とのことなのですが？ 154
■Chapter 4 基本的課題に立ち戻って 157
CQ 4-1 精神医学的対応での治療者の立ち位置とはどのようなものですか？ 158
CQ 4-2 精神療法での大事なポイントとはどのようなものですか？ 160
CQ 4-3 精神科的・心理的対応の際どのような専門職との連携が必要ですか？ 162
CQ 4-4 心理士（師）によるカウンセリングの目的はどのようなものですか？ 164
CQ 4-5 専門的なカウンセリングではどのようなことをするのですか？ 166
CQ 4-6 患者や家族から悩みを聞き出すにはどうしたらよいですか？ 168
CQ 4-7 精神面での課題にどこまで相談に乗るべきですか？ 170
CQ 4-8 精神科や心理の専門家以外でも“精神療法”はできますか？ 172
CQ 4-9 子どもの患者では誰に何をどのように伝えるのがよいですか？ 174
CQ 4-10 治療者（支援者）自身の心の動きについて気をつけることは何ですか？ 176
CQ 4-11 精神医学的な相談や併診がスムースにできるようにしたいのですが？ 178
■NOTE
NOTE 1 心のやりとり ─てんかん臨床の「隙間」で─ 182
NOTE 2 「心に向き合う」とは ─精神科臨床からの提言─ 184
NOTE 3 こころの専門家の資格 ─公認心理師と臨床心理士─ 186
NOTE 4 「虐待」について知ってほしいこと 188
NOTE 5 児童精神科の役割 ─てんかん臨床における使命─ 190
NOTE 6 てんかんと家族・親子関係 192
NOTE 7 高次脳機能リハビリテーションとてんかん 194
NOTE 8 てんかん外科治療 ─最近の話題を含めて─ 196
NOTE 9 包括的てんかん医療を目指して ─現状と課題─ 198
NOTE 10 「てんかん精神病」の理解と誤解 ─診断名がつながらない？─ 200
